南風展

南風展のはじまり

第一回 南風会展
1952年(昭和27年) 8月1日~6日 
(ガスビル画廊・松坂屋北)

「純粋な絵画の発展を願う者」
 終戦直後独自の境地を拓いた光風会員小川博史氏の画室に絵画研究に燃える若人が一人集り二人寄りして洋画研究をはじめたのがきっかけとなり、後、櫻洋画研究所となって研究生のなかから日展や光風会に入選するものが続出、大いに気を強くした連中が自分達の展覧会を開こうと意気投合してこの会の誕生をみた。
 会員は小川氏を旗頭に日展入選二回の石田隆次氏、入選一回の鵜飼幸雄氏をはじめ光風会入選の久野眞、栗木勝美、小出玉江、太田美代子、富田弘、本間美智子の諸氏らを中心とする二〇名で、小、中、高校の教官、大学助教授、会計員などハツラツとした会場効果をあげた。
写真は名古屋南大津通ガスビルで第一回南風会展を開いた時集った面々で、向って右から小川、幾代、小出、伊藤、鵜飼、河野、高木、富田、後藤、本間、久野、吉川、石田、橋本、鈴木、岡田、小松の諸氏            (新聞記事より)

第二回 南風会展
1953年(昭和28年) 8月2日~9日
(丸善画廊)

「自由な素材」
この会は光風会小川博史研究所の三〇余名のグループ展で今夏が二回目、光風特賞受賞の鵜飼幸雄はじめ吉川勉、森勇、本間美智子らが中心。日展の主流である光風会とはいえ、いわゆる官展調がみられず自由な気持ちで素材に取組む。
鵜飼は二〇号の「ニコライ堂」で特賞作品と同じ画題、余分なものを捨てている。吉川勉の「好きな花」は〝ひまわり〟で構成に苦心のあとが見え夏の感じを良く出し、太田美代子の「窓辺」は首像を直感的な線で描き試みをみせているが自己のものとはなっていない。本間美智子の二〇号の「静物」はしっかりしたデッサン力がたくましく、横地照美の「コンポジション」はこの会の異色作品。
(新聞記事より)




第四回 南風会展1955年(昭和30年)
8月20日~24日
(愛知県文化会館美術館)
後援:名古屋タイムズ社

腕達者そろう「大作に努力の跡」
光風会会員小川博史氏の指導する第四回南風会展が県美術館で二四日まで開かれ児童作品も入れて六五名一一五点が出品されている。大部分が五〇号、一〇〇号といった大作ばかりで一人が二点、三点とならべている精力的な仕事ぶりは相当なもの。今回はひところこの会全体をおおっていた型から抜け出してきている人々もみられ、鵜飼幸雄「建物」が感覚的なものを強めて、太田美代子が色彩の個性化で、それぞれ発展している。中島和郎「牛」や森勇「室内B」はモチーフの取り上げ方に独特なものがあり岡田正敏、水谷清孝、近藤八重子なども南風会型にはまっていない点で新鮮だ。                
(新聞記事より一部抜粋)


第五回 南風会展
1956年(昭和31年) 7月4日~8日
(愛知県文化会館 美術館)
後援:名古屋タイムズ社

表現とは見ることのひたむきな追求である。一個の壺、一輪の花を描くことは、作家が対象を如何に見たかの具象的構成である。而して見るとは、対象の中に我を発見することであり、裡なる我を外に移して見ることである。画布の上に再現された一個の壺、一輪の花は作者自身の「我」の自覚に他ならぬ。
南風画展も既に五回、若い作家たちは見ることにその情熱を傾倒して来た。彼等が見たい物が何であるかは、彼等自らの作品が語るであろう。この画展に置いて彼等は何の顧慮も、憶測も、危惧も、阿諛もなく、大胆に奔放に自己の見たものを表現せんと試みているかに見える。
ただ、自己の属するグループ展なるが故に、それに甘える気持ちがあったとしたら、それは決して許されるべきではない。
とまれ、私はこの画展がここまで育って来たことを限りなく歓びとしている。個々の作家についてもその将来を属目されるるあるものも三四に止まらない。言うまでもなく彼等自身の精進の結果であるが、その成長の蔭に辻永、鬼頭鍋三郎両先生の指導が並々ならぬ推進力となっていることを深く銘記すべきである。

1956年 夏 小川博史(第5回南風展目録より)


昭和27年 第1回南風展をガスビルに於いて開催。
昭和30年より愛知県美術館に於いて毎年開催。
昭和57年以降は愛知美術館または名古屋市博物館にて開催。
平成13年 愛知芸術文化選奨文化賞を受賞。
平成22年より再び愛知県美術館に於いて毎年開催。
なお、5年ごとに記念展を開催している。



次回の南風展

第63回 南風展 併催:生誕100年 小川博史展

  • 2014年8月19日(火) 〜 24日(日)
  • 愛知県美術館ギャラリー
  • (愛知芸術文化センター 8階A・B室)

入場無料

過去の南風展

第62回南風展 レポート

第62回南風展が2013年1月8日(火)より14日(月)まで愛知県美術館ギャラリーにて開催されました。 今年はトリエンナーレ開催により、会期が夏季ではなく新年に、また展示スペースも縮小となり、先生方の作品以外は、出品作品の大きさが30号以下と限定されましたが、約80名の出品作品を展示し、県内外より多くの皆様にご来場いただき大盛況となりました。 第62回南風展受賞者 ...

活動レポート