小川博史 記事録

追想の中に生起する詩境 ─存在の夢に想いを通わす洋画家─ 小川博史

  • 『光彩』 話題の作家 1990年初夏号
  • (光彩美術発行)
サッカーラ 100F 1959年 第45回光風会展

サッカーラ 100F 1959年 第45回光風会展


—— 昨年の第二一回日展作品《テトアンの女》で文部大臣賞を受賞され、おめでとうございます。失礼なんですが、先生のキャリアなんかからするとちょっと遅かったような、意外な感じがしました。

小川 私もびっくりしているんです。何でもそうですけれどあまり物事にこだわらない時に思わぬ事が起こるものですね。


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神秘的な世界を描く 洋画 小川博史

  • 『中日新聞』 美を創る 1982年8月21日 夕刊
  • (中日新聞社発行)

ギリシャにひかれ…

 今年二月、光風会の六八回展で最高賞の辻永記念賞を受賞した。受賞作品は一二〇号の大作《北風》。畳一畳以上もあるキャンバスいっぱいに髪をなびかせた裸婦が立つ。脱色させたような白い髪、焼けただれたガレキを思わすようなバックの配色、そして絵筆はほとんど使わずパレットナイフで絵の具を厚く塗り重ねていく独特のタッチが、小川調ともいうべき重厚でかつ神秘的な美の世界を描き出す。


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